〜 AIGO 2000.8月号より 論苑 〜
地域生活のセーフティネット

 重度・重複障害者の通諸施設として朋は15年目を迎えている。建設前に新聞に大きく地元自治会の建設反対の記事が載ったことを昨年のことのように思い出す。もうあれから14年の年月が経った。
 1年目のバザーでは、音楽がうるさいと電話で叱られたが、今は2,000人以上が参加する街のお祭りになった。「孝一さんいる?智恵さん来てる?」と個人の名前を言いながら訪ねて来る小学生たち。日常の交流の中で、たとえ身体的に、知的に、障害が重くても、一人ひとりに個性があり、その人だから果たせる働きがあることが、子どもたちに伝わっていることを実感する。
 昨年、朋には延べ2,700人のボランティアの方々がみんなの活動に参加してくださった。メンバーは健康的に無理でなければ、経管栄養の人も、胃ろうの人も、ショッピングに、散歩に、公園にと、街の中のあちこちに出かけていく。街の夏祭りを車椅子やストレッチャーで楽しみ、町内の運動会にも参加する。グループホームに暮らす人たちは銀行や郵便局にも顔をだす。
 何年か前、グループホームのメンバーがいつも駐車場を利用させていただいている方にお礼に伺ったことがあった。後日その方にお会いした折、「驚きました。私は皆さんが車椅子で、お話も出来ない。だから何もわからないと思って職員さんに話しかけたところ、職員の方がていねいに本人に話しかけ、手を添えて、本人の手から私に品物を渡してくださった。人を大切にするとはどういうことかを学びました」と話してくださった。
 職員は障害の人たちと地域(社会)を結ぶパイプ役である。そのパイプ役とメンバーとの関係が地域の人たちの障害をもつ人たちの印象やイメージをつくる大きな要因になる。地域生活のなかでは、本人と職員の関係が見える。
 祭りの夜店で、職員からかき氷をほんの少し口に入れてもらいほほ笑むメンバーに、「そんなに嬉しいの?」と頬ずりせんばかりに顔を近付け涙ぐんだ方がいた。街で出会う人たち一人ひとりが、障害のある人たちの財産になってほしい。「一緒に生きるって楽しいね」と感じてほしい。日常の活動で出会いと経験を大切にしながら、障害のある人たちと一緒に、皆で生きる地域づくりをすることが、地域生活支援のセーフティーネットをつくることだと考えている。
 そのカギを握るのが職員であることを自覚したい。



製作:「朋の時間」製作委員会
配給:「朋の時間」上映委員会

(2003年度公開作品/ビデオ・長編ドキュメンタリー/カラー/123分)



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