〜風の通り道〜
第2回『ぽかぽかソング』朋のボランティアを長く続けてくださっている方がこんなお便りと共に1枚のCDを届けてくださいました。そこにはこう書いてありました。
「コーラスグループ“アンサンブルブーケ”のメンバーが昨年雨と風がとても強い日、マリンバコンサートを聴きに初めて朋を訪れ、その感動を詞に著わし曲をつけ、こんな素敵な歌ができました。ぽかぽかソングです。
知らなかったよ
こんなにあたたかい場所がある
雨が降っても
風が吹いても
ぽかぽかぽかぽか
ぬくもりがみえるああ
あなたがここにいるから
私は引き寄せられ
そして両手いっぱい
愛をもらったよびっくりしました。そしてこちらの気持ちがぽかぽか温かくなりました。
私たちの施設では誕生会を行う第1土曜日を除いてほとんどの土曜日の午後は音楽会をしています。音楽はみんな大好きです。この世の中にはいろいろな音色があり、メロディがあり、リズムがあります。そんな様々な音色や旋律をみんなに聞かせたいと思ったのですが、吸引器が必要な人たちを簡単に音楽会に連れていくのは大変です。でもなんとか録音ではなく本物の音色を聴かせられないかと思い悩んでいるときに、ふと、私たちの施設ホールを音楽会場にすればいいと思い付きました。
それからはボランティアさんの顔を見れば「誰か演奏をしてくださる人はいませんか」と声をかけていきました。フルート、ピアノ、バイオリン、マンドリン、そして歌声、次々に演奏者が現れてくださいました。どの演奏にもメンバーのみんなは私たちの想像以上に音楽を楽しんでいる様子を見せてくれました。テンポに合わせて体を揺する人、手を振る人、声を出す人、身を乗り出す人、私たちはメンバーの様子に感動しました。そして演奏する人たちからも「音楽をやっていてよかった。また来たい」と言っていただきました。中学校の吹奏楽部のみなさんが、卒業前の最後の演奏は朋でやりたいと、全員で素晴らしい演奏を聴かせてくれて感激した想い出もあります。
土曜日の音楽会がミニ音楽会として地域の中でも定着して15年、今までに何と多くの演奏を聴き、多くの演奏者との出会いがあったことかと朋の幸せを思っています。そして、その幸せにもう一つ幸せが加わりました。音楽を間に人と人の心のぬくもりがぽかぽかとホールの中いっぱいに広がっている、それを外からのお客様が感じてくださったのです。言葉を話せない重症の人たちが音楽を楽しむ心を伝えてくれたのです。
製作:「朋の時間」製作委員会
配給:「朋の時間」上映委員会
(2003年度公開作品/ビデオ・長編ドキュメンタリー/カラー/123分)
「朋の時間〜母たちの季節〜」の 作品内容